6戦中5戦がKO決着
大学生活のほとんどを捧げたボクシングを引退した。
濃密であっという間な三年半だった。戦績を振り返る。
1戦目 ○2R RSC勝ち。大会MVP
2戦目 ●2R RSC負け。
3戦目 ○3R判定勝ち。
4戦目 ●1R KO負け。
5戦目 ○2R RSC勝ち。
6戦目 ●1R KO負け。
(*○=勝ち ●=負け)
(*RSC=レフェリーストップで勝つこと)
改めて見てみると、壮絶な戦いぶりだ。大会でMVPをとったかと思えば、血まみれで負けたり、圧勝したかと思えば、1R1発目のファーストコンタクトで失神して負けたり、判定まで行ったことは一度しかない。顔を腫らしすぎて、パンケーキ屋さんで客の前に出るなと怒られたこともあった。
練習では堅実な勝ちを求めてやっていたのに、試合になると全てを忘れて気持ちが前に出てしまうのが自分だった。反省すべき点ではあるが、引退して少し経った今、この結果には誇りを持っている。どんなに怖かった試合にも、真正面から戦いに挑むことができたからだ。ボクシング生活を通して、一番怖かったのは、パンチを貰うことよりも何よりも、負けた自分の姿を考えることだった。それまでは戦いを避けて自分のルールで生きてきた。プライドが高くて、自分の弱い部分を見つめることがどうしてもできなかった。事実、初めて負けた試合は、かなりの時間見返すことができなかった。試合はそんな自分を乗り越える挑戦でもあった。
キャプテンとして挑んだ最後の試合は敗れて初めて後輩の前で号泣した。
他大学の監督は声をかけてくれた。試合から熱い気持ちや覚悟が伝わってきたよと。
真正面から自分と向き合った三年半は、弱さと向き合う強さをくれた。
デビュー戦でMVPをいただけたこと。ボクサーの端くれとして、一流のプロボクサーたちと汗を流したこと。嬉しさも悔しさも存分に味わって、沢山の人にお世話になった。その充実した日々や、出会いに感謝したい。